性病は、厚生労働省の平成28年性感染症報告書によれば、性器クラミジア感染症が感染者数24,396人で最も多く、次いで性器ヘルペス感染症が感染者数9,174人で第2位、淋病が感染者数8,298人で第3位、尖圭コンジローマが感染者数5,730人で第4位、梅毒が感染者数4,559人で第5位、新たなHIV感染者が日本国籍及び外国国籍を合わせて1,011人で第6位となっています。
性病は、感染症法の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の施行以降感染患者の一時的な増加があるものの総体的に減少傾向にありましたが、近年では性病の感染者の減少率が低く梅毒に至っては平成25年以降急激に増加し、新たなHIV感染患者も1,000人以上と横這いです。

梅毒は、コイル状の細長いスピロヘータの1種とされる梅毒トレポネーマに感染する事で発症しますが、2年間~3年間程度の前期潜伏期間と数年間~数十年間に及ぶ後期潜伏期間の無症候性感染状態がある特徴があります。
梅毒は、ペニシリン系抗菌薬の普及により減少傾向が続き平成15年には日本国内の感染者数が509人まで減少していますが、平成28年には約6倍に相当する3,174人が医療機関で治療を受けたとされています。
梅毒の感染者数の増加は、有効なワクチンが開発されていないもののペニシリン系抗菌薬の開発により不治の性病から治療可能な性病となった事に加え、性器ヘルペス感染症やクラミジア感染症などの性病の感染者数が多い事で梅毒への警戒心が低下した事で増加していると考えられ、外国観光客が感染源とも考えられています。

HIVは、2013年以降日本国籍の新たな感染患者は減少傾向にあり2016年には857人と減少していますが、外国籍の新たなHIV感染者が増加している事から新たなHIV感染者数は1,000人を下回る事が出来ずにいます。
HIVは、性器クラミジアや性器ヘルペス感染症などの性病の潰瘍性病変の形成によって感染率が健常時の3倍~5倍に高まるだけで無く、梅毒とHIVの重複感染は免疫機能を担うCD4陽性リンパ球数の低下を加速させると危惧されています。

感染者が多い性病の症状とは

感染者数の多い性病には、発症後に自覚症状がほとんど無い感染患者が多い事や1回の性行為による感染率が高い事、不妊症の原因となる事などがあります。
最も感染者数の多い性器クラミジアは、男性の感染者の約5割、女性の感染者の約8割に自覚症状が無いとされ、感染に気付かずに性行為を重ねてしまい感染者数を増加させています。
性器ヘルペス感染症は、1度感染すると一生涯ヘルペスウイルスを体内に保有する事となり、元々発症時の自覚症状が無い感染者が多い事に加え再発を繰り返す度に自覚症状ある感染者も自覚症状が軽症化するとされ、感染や再発に気付かずに性行為を重ねてしまい感染者数を増加させています。

性病は、1回の性行為による感染率が約50%程度とされるクラミジア感染症や感染率が約30%程度とされる性器ヘルペス感染症の感染患者が多く、感染者数が多い事で更に感染者数が増加している負のスパイラルに陥っています。
尖圭コンジローマは、性行為1回の感染確率は60%~70%と性器クラミジア感染症を超える感染率ですが、感染者数自体が少ない事で感染者が少ないと考えられ、淋病の感染確率は約20%程度とされています。

感染者数の多い性病は、感染や再発に気付かずに重症化する感染者も多く、不妊症の原因となる事があります。
男性の場合は、尿道から精管や精巣上体、精巣まで上行感染して精巣機能の破壊や精管の閉塞などを引き起こし男性不妊症の原因となります。
女性の場合は、子宮頸管部から子宮や卵管、卵巣に上行感染して卵管の閉塞や卵巣機能の破壊などを引き起こし不妊症の原因となるだけで無く、骨盤内腹膜炎や肝周囲炎などを引き起こす事もあり、特に女性は自覚症状が無くても定期的な性病検査の受診が望ましいとされています。